2025年6月13日に公開される映画『フロントライン』は、日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」を舞台に、未知のウイルスに立ち向かった災害派遣医療チーム(DMAT)の奮闘を描いた医療サスペンスです。この映画の核となるDMATは、災害医療を専門とする医療ボランティア的組織であり、その機動性と専門性で命を救う最前線の存在として注目されています。本記事では、DMATの概要、活動経歴、魅力、そして映画『フロントライン』との関連について、わかりやすく解説します。

DMATとは?災害医療のプロフェッショナル集団
DMAT(Disaster Medical Assistance Team、災害派遣医療チーム)は、大規模災害や多数の傷病者が発生する事故現場で迅速な医療活動を行うために設立された専門的な医療チームです。1995年の阪神・淡路大震災を契機に、災害時の医療体制の不備が浮き彫りとなり、2005年に日本DMATが正式に発足しました。地震や洪水などの自然災害だけでなく、近年では新型コロナウイルス感染症のような感染症対応にも活躍の場を広げています。
DMATの基本構成
DMATは、原則として以下の4名で1チームを構成します:
| 職種 | 人数 | 主な役割 |
| 医師 | 1名 | 医療提供、チームの統括と指揮 |
| 看護師 | 2名 | 診療補助、被災者や負傷者の身体・精神ケア、DMATメンバーの体調管理 |
| 業務調整員 | 1名 | 情報収集、連絡調整、物資調達、宿泊手配、電子入力などの後方支援 |
- 魅力ポイント: DMATは医師、看護師、業務調整員が一体となり、チームワークで命を救う点が最大の魅力です。各メンバーが専門性を発揮し、緊迫した現場で迅速かつ的確に対応する姿は、映画『フロントライン』でも感動的に描かれています。
DMATの特徴
DMATの活動は、災害発生からおおむね48~72時間以内の「災害急性期」に焦点を当てています。この期間は、命を救うための迅速な対応が求められる最も重要なフェーズです。以下はDMATの主な特徴です:
- 機動性の高さ: 災害発生後、即座に被災地へ出動し、トリアージ(治療優先度の判断)、応急処置、搬送を行う。
- 多職種連携: 自衛隊、消防、警察、日本医師会(JMAT)、災害派遣精神医療チーム(DPAT)などと連携し、総合的な医療支援を提供。
- 訓練の徹底: DMAT隊員は、災害拠点病院やDMAT指定医療機関に所属し、定期的な養成研修や技能維持研修を受講。実践的な訓練を通じて、過酷な環境でも冷静に対応できるスキルを磨く。
- 柔軟な対応力: 地震や洪水だけでなく、感染症や交通事故など多様な災害に対応。映画『フロントライン』では、未知のウイルスに挑むDMATの姿が描かれ、その柔軟性が際立っています。
- おすすめポイント: DMATの機動性と連携力は、災害時に地域全体の医療を支える鍵。映画を通じて、こうした「縁の下の力持ち」の存在を知ることで、災害医療への関心が高まるはずです!
DMATの活動経歴:日本を支えた名もなきヒーローたち
DMATは、発足以来、数々の大規模災害や緊急事態で活躍してきました。以下に、主要な活動実績を紹介します。
DMATの活動実績(年表形式)
| 年 | 事案 | 活動内容 | 備考 |
| 1995 | 阪神・淡路大震災 | 災害医療の課題が浮き彫りに。DMAT創設の契機となる。 | 死者約6,434人、負傷者約43,792人。「クラッシュ症候群」の認知不足が課題に。 |
| 2004 | 新潟県中越地震 | 東京DMATが初出動。被災地での医療支援や搬送を実施。 | 日本初のDMAT活動。 |
| 2007 | 新潟県中越沖地震 | 地震発生から約3時間後に派遣要請を受け、医療活動や病院支援を実施。 | 迅速な出動が高評価も、要請の遅れが課題に。 |
| 2011 | 東日本大震災 | 約400チームが出動。SCU(臨時医療拠点)を設置し、136人を受け入れ、16人を広域搬送。 | 津波や原発事故など想定外の事態に対応。 |
| 2016 | 熊本地震 | 医療支援、トリアージ、搬送を実施。 | 複数回の余震にも対応し、柔軟性が発揮された。 |
| 2018 | 西日本豪雨 | 洪水被害地域で医療支援。避難所の公衆衛生管理にも関与。 | 災害の多様性に対応。 |
| 2020 | ダイヤモンド・プリンセス号(新型コロナウイルス) | 日本初の集団感染に対応。未知のウイルス下での医療活動を実施。 | 映画『フロントライン』の題材。乗客乗員3,711人の命を守る。 |
| 2024 | 能登半島地震 | 過去最大の1,139チームが出動。医療支援や搬送を実施。 | DMATの規模と重要性が再確認された。 |
ダイヤモンド・プリンセス号での活躍
映画『フロントライン』のモデルとなった2020年のダイヤモンド・プリンセス号での活動は、DMATの歴史において特筆すべき事例です。2020年2月3日、乗客乗員3,711名を乗せた豪華客船が横浜港に入港。香港で下船した乗客1人に新型コロナウイルスの感染が確認され、船内では100人以上が症状を訴えていました。当時、日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関は存在せず、DMATが急遽出動。地震や洪水のスペシャリストであるDMATにとって、未知のウイルスへの対応は未経験の挑戦でした。
- 活動内容:
- 船内でのトリアージと応急処置。
- 非感染者、軽症者、重症者の分類と対応。
- 乗客全員の下船(2月21日まで)を目標に、感染リスクを冒しながら医療活動を継続。
- 厚生労働省や他の機関との連携による総合的な支援。
- 魅力ポイント: 未知のウイルスという極限状態で、DMAT隊員は自らの命を危険にさらしながらも「やれることは全部やる」という信念を貫きました。映画『フロントライン』では、小栗旬演じるDMAT指揮官・結城英晴や窪塚洋介演じる医師・仙道行義らが、この壮絶な現場をリアルに再現しています。
DMATの役割と活動内容

引用元:防災ニッポン – 読売新聞オンライン
DMATの活動は、災害急性期における迅速な医療提供に特化しています。以下に、具体的な役割をまとめます。
1. トリアージ
- 内容: 負傷者の重症度や緊急性に応じて治療の優先順位を決定。トリアージタグ(赤:最優先、黄:待機的、緑:軽症、黒:死亡)を使用。
- 例: 東日本大震災では、SCUで136人の患者をトリアージし、適切な搬送を実施。
2. 応急処置と医療提供
- 内容: 現場での救命処置や、がれきの下での医療行為(「がれきの下の医療」)。
- 例: 福知山線脱線事故では、脱線した車内に進入し、輸液や輸血を実施。
3. 病院支援
- 内容: 被災地の医療機関が過負荷になるのを防ぐため、DMATが支援。情報発信や患者受け入れをサポート。
- 例: 新潟県中越沖地震で、拠点病院からの転院搬送を支援。
4. 広域搬送
- 内容: ドクターヘリや航空機で重症患者を遠方の医療機関へ搬送。
- 例: 東日本大震災で16人を広域搬送。
5. 感染症対応
- 内容: 避難所の公衆衛生管理や感染症対策。新型コロナウイルス対応では、クルーズ船や介護施設での活動を実施。
- 例: ダイヤモンド・プリンセス号での活動は、DMATの柔軟性と勇気を象徴。
- おすすめポイント: DMATの多岐にわたる役割は、災害医療の「オールラウンダー」としての魅力を示しています。映画『フロントライン』では、こうした役割がドラマチックに描かれ、観客にDMATの重要性を伝えています。
DMATになるには?訓練と資格
DMAT隊員になるためには、以下のステップが必要です:
- DMAT指定病院または災害拠点病院への就職
- 2023年4月時点で、全国に770の災害拠点病院(基幹64、地域706)が存在。
- DMAT指定医療機関は、災害拠点病院が主。
- DMAT養成研修の受講
- 厚生労働省や都道府県が主催する研修に参加。
- 救急医療の知識やトリアージ技術、災害時の対応スキルを学ぶ。
- 技能維持研修
- 定期的な訓練でスキルを維持。例:院内災害訓練(群馬大学医学部附属病院では約300名が参加)。
- 実践経験
- 救急医療の豊富な経験が求められる。瞬時の判断力と冷静さが必須。
- 魅力ポイント: DMAT隊員は、厳しい訓練を通じて「命を救うプロフェッショナル」に成長します。映画『フロントライン』で描かれるDMAT隊員の姿は、こうした訓練の成果を象徴しており、医療従事者を目指す人にとって大きなインスピレーションとなるでしょう。
DMATの魅力と映画『フロントライン』との関連

DMATの魅力
- 命を救う最前線の使命感
- DMATは、災害時に誰よりも早く現場に駆けつけ、命を救う使命を果たします。映画『フロントライン』では、未知のウイルスに立ち向かうDMATの「やれることは全部やる」という姿勢が感動を呼びます。
- チームワークの力
- 医師、看護師、業務調整員が一体となり、過酷な環境で協力。映画では、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介らの演技が、このチームワークをリアルに表現しています。
- 社会への貢献
- DMATの活動は、地域の復興や「防ぎ得た災害死」の削減に直結。東日本大震災や能登半島地震での活躍は、社会への大きな貢献を示しています。
- 柔軟性と成長
- 地震、洪水、感染症など多様な災害に対応する柔軟性は、DMATの大きな魅力。映画『フロントライン』は、未知のウイルスという未曾有の危機に挑むDMATの成長物語でもあります。
映画『フロントライン』との関連
映画『フロントライン』は、DMATのダイヤモンド・プリンセス号での活動を基にした初の劇映画です。以下のように、DMATの魅力が作品に反映されています:
- リアルな人間ドラマ: 小栗旬演じる結城英晴と松坂桃李演じる立松信貴の衝突と信頼、窪塚洋介演じる仙道行義の覚悟など、DMAT隊員の葛藤と成長が描かれる。
- 臨場感あふれる映像: 手持ちカメラを駆使した映像は、船内の緊迫感をリアルに再現。DMATの機動性と現場の過酷さが伝わる。
- 事実に基づく物語: 300ページを超える取材メモから構築された脚本は、DMATの知られざるエピソードを丁寧に描き出す。
- 社会へのメッセージ: 報道の在り方や医療従事者の犠牲など、DMATの活動を通じて社会問題にも光を当てる。
- おすすめポイント: 映画『フロントライン』は、DMATの活動を知る絶好の機会。観客は、命を救うために奮闘する医療従事者の姿に心を揺さぶられ、災害医療の重要性を再認識できます。
DMATの未来と私たちにできること
DMATは、発足から20年を迎え(2025年時点)、ますますその役割が重要になっています。能登半島地震での1,139チームの出動は、DMATの規模と社会への影響力を示しています。 今後、気候変動による災害の増加や新たな感染症のリスクが予想される中、DMATの柔軟な対応力はさらに求められるでしょう。
私たちにできること
- DMATの活動を知る: 映画『フロントライン』を観て、DMATの役割と意義を理解する。
- 災害医療への関心を持つ: 医療従事者を目指す若者は、DMAT指定病院への就職を検討。
- 防災意識を高める: 個人レベルでの防災準備や、災害時の情報収集の重要性を学ぶ。
- おすすめポイント: DMATの活動は、私たちの安全と社会の復興を支える基盤。映画『フロントライン』をきっかけに、災害医療への関心を深め、自分にできることを考えてみませんか?
まとめ
DMAT(災害派遣医療チーム)は、災害急性期に命を救うために迅速に動く、医師、看護師、業務調整員からなる専門チームです。阪神・淡路大震災を契機に生まれ、東日本大震災、ダイヤモンド・プリンセス号、能登半島地震など、数々の危機で活躍してきました。映画『フロントライン』は、DMATの未知のウイルスとの闘いを描き、その使命感、チームワーク、柔軟性を感動的に伝えています。DMATの活動を知ることは、災害医療の重要性を理解し、私たち自身の防災意識を高める第一歩です。2025年6月13日の公開を機に、ぜひ劇場でDMATの「最前線」を体感してください!
参考文献:


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